真木栗ノ穴 [2007映画]
売れない作家 真木栗 勉。(西島さん)
純文学を志望していたのに、官能小説を書くはめになります。
ボロいアパートの中で、真木栗は部屋に穴を見つけます、両隣右の部屋と左の部屋。両方がのぞける穴。
その穴の中での妄想を、真木栗は小説にしていきます。
全体見た感想としては、どこがどこまでが本当で、ここからが妄想ライン?というのがわかりません。
それくらい、不思議なお話。
ホラー、怪奇ものというよりも、そもかく不思議です。
みていると、訳がわからなくなるんですけど、最後には「ああ…そう」という奇妙な感覚にさせてくれます。
一応、官能小説を書かなきゃいけなので、お隣にくるのは女性。
真木栗好みなのか、まあ色っぺえお姉さんというか、おばさんというか、微妙な方がいらっしゃいます。
その方をモチーフに小説を書くと、なんと、その事が実際に起こってしまう。
官能小説(しつこい)なので、もちろん、まあそれなりの妄想を真木栗くんは一生懸命するわけですが、それが、後で実際に穴から覗ける。
そこからはホラーなんですけど、穴をのぞく目が真剣なんですよ。
見ている自分も覗いているようなアングルで「ごめんね」って気になります。
自分、真木栗になった気分。
もっと見たいんだよお〜と真木栗と(多分)同じ気持ちになってしまう、まか不思議現象。
西島さん主演映画ですので、ほとんど西島さん出っぱなし。西島ファンでしたら嬉しい映画。
ぼろアパートに向う途中現世と浮世を隔てるように、洞窟が存在します。
その洞窟の穴を通って、真木栗は、あっちとこっちを行き来する。
鎌倉でロケがあったようですが、とても素敵な印象に仕上がっています。
しっとりとした、雨上がりのような、気持ち悪さと、清らかさ。
そんな映画です。
そして、その中で西島さんは、相変わらず淡々と役にとけ込んでいます。
前半はコミカルな演技も多いです。
特に、熟年女性にだまされて、一緒についていってしまう、あのボーーッとしたところ。
西島さんにしかできない技です(笑)
ついでに、その熟女と狭いお風呂に入ってしまう所も、かわいい。
この役では、パジャマ姿が多いです。
まあ、本当に西島さんって白シャツさえあれば良いので、衣装代ってあまりかからないスタッフさん思いの方なんじゃないかと思ってしまった。
あと、あの裸かな。
うん、衣装代かからないねえ。西島さん。
素がいいと、楽だねえ。
パッチギ! LOVE&PEACE [2007映画]
パッチギ!LOVE&PEACE スタンダード・エディション [DVD]
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- メディア: DVD
東京で暮らす、在日韓国人の兄弟の話。
政治的に問題になりそうなないようですが、兄弟とか、親子とか…どんな人種でも変わらないし
そうであってほしいと思わせる映画でした。
特に、現在嫌韓思想が多いので、賛否両論の映画になると思います。
が、西島さんは、西島さん。
役は、野村 という俳優なんです。妹のキョンジャが芸能界入りするのですが、そのときに目をかけてあげる先輩役者。1970年代設定なので、芸能人水泳大会でオッパイぽろりとかあって、笑わせてくれます。
俳優野村も、往年の西城秀樹を思わせる長髪で、笑わせてくれます。
まあ、結局、野村君キョンジャにひどい事をいいます。
抱いた後に「在日と結婚なんてできるわけない」
西島さん、どういう思いで台詞を言ったのかはもちろんわかりません。
でも、日本人なら影でもってしまっている心の暗い所の言葉、言っちゃったね。
難しかっただろうなと思います。
あと、ですね、サービスショット。
アルトサックスを吹いて歩くシーンが有ります。
ちょいと気障で、許せちゃう、昔のアイドルって感じでした。
神童 [2007映画]
鳴海凛子、松山ケンイチさん主演。
私は、この映画で西島さんにはハマりました。記念作です。
西島さんは主人公 うた(鳴海) の亡くなったお父さんという設定なので、遺影で登場。
これが、また妙に似合うのがふしぎなんですけどね。
うたとワオ(松山さん)との恋人でもない関係を軸に、ピアノを絡めながら話は進みます。
うた は映画のタイトル通りの神童。
「私は音楽だから」と言う程の神童です。
ワオはまあ、普通の音大生(になれた)なんですけど、ピアノは大好き。
うたのお父さんはいません。船からいなくなったそうです。
自殺したともいわれていますし、娘の うた もそう思っている。
それが西島さんです。
遺影の西島さんは優しく微笑んでいますが、天才ピアニスト、女性にももてたという(お決まり)
の設定を文句なくこなしております。
出演シーンはほんのわずかです。
主人公 うた の 幼少時にピアノの墓場という倉庫に一緒に行くというシーンなのですが
妙に強烈でした。
シルエットで西島さんと女の子がまず出てくるのですが驚くのが、そのウエストの細さ…そこかよ!!という突っ込みもありますが、驚きますから見て下さい。
で、ピアノをポンと指で弾き、少しの会話と最後に
「蝉のなく音がする」
と儚げな仕草で、その場面を占めます。
あとは、思い出話と遺影しか出て来ないのですが、このワンシーンが物語の軸になります。
実は神童 うた も 蝉のなく音が聞こえるのです。
話の中で うた の父は難聴で苦しんでいたということがわかるのですが、 うた も結局その運命を引き継ぐのです。才能と同時に。
その運命と、苦しみを うた に授ける父親を存在で強烈にアピールするのが西島さん。
父親(西島さん)がいてこその、 うた の才能であり、存在であった事を十分に感じさせられるシーンで、とても印象に残りました。
西島さんの代表作はこれから色々と出てくるはずです。彼は多分、 next one の俳優だと思うので。
ただ、私にはこの映画の西島さんには凄い印象を感じました。
私自身、ピアノが好きというせいもあるかとは思います。
でも、あのワンシーンで物語の、主人公の位置を明確にしてしまう。
そういう姿がとても印象的だったのです。
私にとって、とても大切な作品です。
フリージア [2007映画]
治安が悪化した近未来の戦時下という設定。
漫画原作が有ります。私は読んではいませんが、原作読者には不評みたいです。
もっとも、原作はあくまで原作で、映画やドラマになるともう合法二次制作みたいなものですから
同じ物とは考えない方が良いのではないかと…、最近は原作ありの映画ドラマが多いのですけどね。
玉山鉄二さんが主演のヒロシ。西島さんはヒロシのかつての上官だったトシオ
この2人が、「敵討ち法」で執行側と執行される側になります。
トシオは自動車の整備の仕事をしていますが、人とは距離を置く無口な男。
でも、いじめられている同僚をたすける一面も持つ人間。
生活の張りは、会った事のないメル友。
彼女の愚痴メールがを見るときだけは、少し顔を緩ませる西島さん。
あとは愛想のない無骨な男を淡々と演じています。
見所は、やはり最後の玉鉄との対決。
まあ、2人とも絵になる事。それだけでお腹いっぱい…なんですが
メル友の家から、離れた所でヒロシと撃ち合う事を望むトシオ
その段階で既に、命は手放していたんでしょうね。
見ていて非常に悲しくなる映画でした。
美しい西島さんではなく、悲しい西島さんかな。
どのシーンも過去を引きずる男の暗部的妖艶な美しさがあったと思います。
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