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カナリア [2004映画]


カナリア [DVD]

カナリア [DVD]

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: DVD



  
オウム事件と、女子小学生だったか、中学生が高速道路で車から飛び降りた話のミックス。

カルト教団 ニルヴァーナ に母親と妹と共に入信した少年、光一。
親に疎まれ、非行に走る少女、由希。

この2人が生きる為に歩き出す。

西島さんの役所は、この少年の心理的父親役。ホーリーネーム シュローパー 本名伊沢。
教団では「子供係」と呼ばれる職で、信者の子供達の世話や宗教教育担当。
しかし、教団内の隔離された施設にいた段階で、彼は信仰に対し反抗的な光一に言う。
「ラヴァナ(ホーリーネーム)強くなれ。光一!!」
光一のホーリーネームだけではなく、本名も言った。苦しそうな声で。
そのあたりで、彼の悩みが感じられた。
洗脳されていた中で、教祖に対する疑問が生じてきたのかもしれない。

そもそも、伊沢は自分が勧誘した若者や、後から入信したように思われる光一の母親にも抜かれている。
重要なポスト(教団幹部)にはつけなかった。
彼の忠誠が彼の気がつかない部分で脆い部分がある事に、教団が気がついていたのかもしれない。

教団が事件を起こしたあとか、前かはわからないが、脱会し呪縛から脱出している。
そして、元信者同士集まって、細々と社会生活を営む。

教団が事件を起こした後、教団の子供達は関西の児童相談所に送られた。
妹の朝子は祖父が引き取ったが、光一は信仰ものこっており、また祖父の複雑な感情もあり引き取られる事は無かった。祖父の娘、光一の母は、事件を起こした実行犯で指名手配されていた。

光一は児童相談所を抜け出し、妹を連れ戻しに東京へ向う。
その最中、由希に出会う。
由希は援助交際もする。なんでもする。
この2人が、時に話しながら、時に無言で、東京を目指す。
この間の2人が凄い。
この演技は…子役じゃないね。
東京に近づくにつれて2人とも何かが変わって行く。徐々に変わる。
宗教心も徐々に薄れて行く、援助交際もしなくなる。

そして、光一は伊沢と偶然に再開する。
「児相からにげてきたのか?」
と光一に問いかける伊沢。
うなずく光一に向けられた、包み込むような伊沢の笑顔。絶品。

西島さん演じる伊沢は、この光一の背中を押す「おとな」なんですね。
そして、優しく、賢い。

指名手配されている昔の仲間と再会したとき
「信じているんじゃない、信じたがっているんだ。信じていないと自分自身が壊れてしまうから。」
と、諭します。
それを、伊沢は自ら悟った。西島さんの演技は伊沢の愚直さを際立たせたのではないか?

この映画の中で、最も台詞のある大人が伊沢でした。
光一のおじいさんの住所がわかり旅立つ時、この映画一番の長セリフがあります。
この時の西島さんは必見。
スクリーンから観客に訴えかけるように言います。光一だけではなく、観客に向けて言っているようです。

「光一、お前は神の子でもニルヴァーナの子でもない。光一お前はお前だ。お前自身だ。それ以外の何者でもない。だから、おまえは自分で自分でしかないことに耐えられなくなるかもしれない。
重荷につぶされるな。
俺が俺でしかないように、お前がお前でしかない事に絶対に負けるな。」


光一はこの言葉を抱き、妹の元に向います。
その途中で、母を含む容疑者が集団自殺したことをニュースで知ります。
発狂したかのようになる光一。
母親の事をののしった祖父を殺す為に持っていた、ドライバーを自分に向けます。
しかし、由希がそれをとりあげ、一人祖父の家に向います。

結局、祖父は光一の母の代わりに妹を引き取り、叶わなかった娘の養育の理想成就をしたかったようです。
どうやら、厳格そうな祖父が母親が宗教に走った理由のひとつではあるようです。

由希がドライバーを祖父に向けた時、白髪になった光一が現れます。
ドライバーを床に落とし、

「我は全てを許す者なり」

妹と由希とともに歩き出します。
子供は親を選べない。
しかし、教団に訳もわからず入れられても母親を求めた光一。

生きていく。

白髪になったのは、光一の中に光の先が見えたからなのかもしれない。


先が見えれば、西島さんが言った「信じる」という思考が薄まる。
カルトからの離脱。


しかし、あの事件は壮絶だったために、この映画もなかなか…
今も続く事件。
あの時の子供達は、今はどうなっているのか?
そして、あの時よりも不穏になってきた世の中で、カルトや社会心理がどうなっているのか?
改めて考えられる作品です。


そして、西島ポイントは。
やはり、あの長セリフなのですが…
あの変な宗教服みたいなの(上下白)が、妙に似合わない。
後半の作業服で落ちつきました。私。
髪の毛が、ぼわあああんと無造作な感じでいいなあ。

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中立的正確な作品内容詳細はアマゾンなどでご覧下さい。あくまで、西島秀俊さんファン『うた』の偏向たっぷり、超個人的な感想、雑記、覚え書きです。もちろん、
ご本人、所属事務所等とは一切関係ありません。
ちなみに、巷ではロスジェネ世代と呼ばれている世代に属します。。


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